酒井法律事務所HOME 新法令・判例紹介 詳細 |
1 | 保健,医療又は福祉の増進を図る活動 |
2 | 社会教育の推進を図る活動 |
3 | まちづくりの推進を図る活動 |
4 | 学術,文化,芸術又はスポーツの振興を図る活動(改正) |
5 | 環境の保全を図る活動 |
6 | 災害救援活動 |
7 | 地域安全活動 |
8 | 人権の擁護又は平和の推進を図る活動 |
9 | 国際協力の活動 |
10 | 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動 |
11 | 子どもの健全育成を図る活動 |
12 | 情報化社会の発展を図る活動(改正) |
13 | 科学技術の振興を図る活動(改正) |
14 | 経済活動の活性化を図る活動(改正) |
15 | 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動(改正) |
16 | 消費者の保護を図る活動(改正) |
17 | 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡,助言又は援助の活動 |
*(改正)が今回追加ないし改正された部分です。 |
弁護士田邊正紀
NPO法は,既に平成10年12月1日に施行されていますが,一部改正が行われ平成15年5月1日から施行されましたのでここで説明します。NPO法は,ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会的貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的としています。
NPO法はさまざまな面で従来の法人法と異なり,特徴を挙げれば切りがありませんが,主なものをあげてみます。
1 社員(従業員ではなく法人の構成員)が10人以上集まれば基本財産がなくても法人となれます。今まで,財団法人であれば約3億円,社団法人でも年間約1000万円の会費収入が必要で,株式会社でも1000万円の資本金が必要でしたがこれらは一切不要です。
2 この法律で法人となることのできる公益団体は,右表の17項目を不特定多数の人のために行うことを主たる目的にしている必要があります(今回の改正で12項目から17項目に増やされました)。主たる目的が右表に合致していれば,活動資金を得るため等のため収益活動をすることも認められています。
3 収益事業の所得に対しては普通法人と同様に課税されますが,寄付金や会費等の収入は非課税です。
4 設立,定款変更,合併の各段階での情報公開方法が定められており,法人自らまた所轄庁が一般人に対し事業報告書等を公開することを定め,透明性の高い運営を目指しています。
NPO法により,従来のボランティア団体などが法人格を取得するメリットとして以下のようなことがあげられます。
1 事務所の賃貸借契約や銀行口座の開設など様々な契約を法人名義で行うことができ,法律関係を明確にすることができます。
2 土地・建物をはじめとする財産を法人名義で登記することができ,個人の財産との区別を明確にでき,代表者の交代などによるトラブルを防ぐことができます。
3 法人化することによって団体としての社会的信用が増加することがあります。特に海外で活躍する団体などにとってはメリットが大きいようです。
法律に規定された17項目の目的に合致している団体であれば,NPO法により特定非営利活動法人を設立することも,商法に基づく株式会社を設立することもできます。税制面だけから見れば明らかにNPO法が有利ですが以下のようなことに気をつけなければなりません。
1 主たる目的があくまでも不特定多数の人のために法記載の17項目のうちのいずれかでなければならず,収益事業を主たる目的としてはいけません。
2 NPO法人は,営利を目的とはしておりませんので,収益事業からの収益は全て交易活動に使用しなければなりませんし,株式会社のように利益配当を行うことはできません。
3 役員の配偶者や3親等内の親族は原則として役員になることはできず,株式会社のような同族会社を作ることはできません。
4 解散による清算手続によって生じた残余財産は,他の公益法人に帰属するか,国または地方公共団体に帰属し,個人に帰属することはありません。
設立しようとする法人の目的が,法記載の17項目に合致する場合には,以上のような,法制度の違いをきちんと理解した上で,NPO法人の設立を考えてみてはいかがでしょう。
前ページへ戻る | このページの先頭に戻る |