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韓国光州弁護士会を訪問

弁護士 田邊 正紀

2012年02月

 2011年11月3日から3日間、韓国の光州弁護士会を訪問しました。愛知県弁護士会と光州弁護士会は、2008年に光州弁護士会が愛知県弁護士会を訪問してから、毎年訪韓と来日を交互に繰り返しており、今回は愛知県弁護士会から13名の弁護士が訪韓しました。韓国においては、日本よりも早く被疑者取調べの可視化や被疑者取調べへの弁護人の立会い権などが実現しており、愛知県弁護士会の取調べ可視化実現本部や刑事弁護委員会からも多くの委員が参加しました。

 光州弁護士会は、私たち訪問団が光州空港に降り立った瞬間から横断幕を掲げての出迎えなど大歓迎をしてくれました。

空港での歓迎 (画像を再度クリックすると元のサイズに戻ります)

空港での歓迎
1日目

高度にコンピュータ化された法廷 (画像を再度クリックすると元のサイズに戻ります)

高度にコンピュータ化された法廷

 初日は、光州弁護士会の他、光州地方法院、光州地方検察庁、国選専担弁護士事務所(刑事の国選弁護のみを専門に扱う公設事務所)などを訪問し、被疑者の人権や刑事司法制度に関する共同セミナーを行いました。

 私が、印象に残ったのは、地方法院の高度にコンピュータ化された法廷です。日本でも裁判員裁判の導入により、テレビモニタが設置された法廷を見かけるようになりましたが、韓国が目指しているのは、法廷のペーパーレス化のようで、法廷内では証拠などもすべてモニタで閲覧するような方向で進んでいるようです。

2日目

 2日目は、光州弁護士会所属の弁護士の案内で、羅州潘南古墳群、馬韓文化公園、王仁博士遺跡地、木浦、仏教渡来地などソウルから足を延ばす観光ではなかなか訪れることのできない所を見学することができました。木浦は、日本統治時代には中国大陸との貿易港として栄えた町で多くの日本人が暮らしていたようです。木浦近代歴史館には多くの当時の写真が展示されていましたが、悲しい歴史を物語る写真も多く心を痛めました。

3日目

 3日目は、国立5.18民主墓地を訪問した。私も訪問前は、光州事件という名前は聞いたことがあっても、詳しい内容は知りませんでしたが、ごくごく簡単に言えば、全斗煥による軍事クーデタ直後の1980年5月に発生した市民民主化運動です。10日間で死者約170名、負傷者4000名以上を出し、韓国では光州は民主化の聖地と言われています。

 墓石には死者の遺影が飾られたものも多く、やはり学生の数が多かったように思います。案内をしてくれた弁護士の友人も数多く眠っており、「友達にデモへの参加を誘われたが親に反対されて行かなかった」ことなど、複雑な心境を語ってくれました。


国立5.18民主墓地 (画像を再度クリックすると元のサイズに戻ります)

国立5.18民主墓地

兄弟の契り (画像を再度クリックすると元のサイズに戻ります)

兄弟の契り

 あっという間の3日間でしたが、ソウルとはまた違う韓国の顔が見られた気がします。当然のことながら、毎晩光州の弁護士と酒を酌み交わすこととなりましたが、焼酎をビールで割った酒をお互いに腕を組んで(いわば逃げられない状態で)一気に空ける兄弟の契りが私たちの将来の関係を決定づけたと思います。2012年は、光州弁護士会が来日することとなりますので、今回に負けない歓待をしなければなりません。

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